豊明市で最も自然豊かなところといえば市内最高地点(71.8m.)の二村山を含む北部の丘陵地である。この一帯は常緑樹と落葉広葉樹の混交林に若干アカマツやクロマツなどの針葉樹林が生育しているが、谷川のような水の流れがないため、林下は乾燥気味である。そんなに広い地域ではないが、雑木林内には一部保存された鎌倉街道が今も残っており、急斜地や崖地、ヒノキやスギの植林地など変化にとんだ環境がありいろいろな林床植物を見ることができる。
頂上の展望台からは、360度周辺の景色から、遠くの御嶽山まで展望できる。
また、上空をオオタカやサシバなど猛禽類がゆったりと飛ぶ姿や林の中では、可愛い野鳥がたくさん観察できる貴重な自然が残っている。
ここを市民参加で、保全活動をしていきたいと二村山環境保全推進協議会を設立することになった。
◆関心があり、趣旨に賛同する人は誰でも会員になれます。
二村山は、尾崎久弥著「二村山考」によれば、950年ごろから古歌に詠まれていた名所でした。鎌倉時代には街道として往還が盛んであった頃、名勝地として広く知られていた所として紹介されています。現存する鎌倉街道は豊明市の貴重な歴史遺産です。
江戸時代末期には儒者の伊藤両村や金子宣彦によってサクラの木を植えるなど史跡の保存がおこなわれました。また、戦後荒廃した二村山は、地元を初めとした多くの人々によって自然環境が復興されてきた経緯もあり、由緒ある地です。
また、20世紀には、豊明市の発展の中で二村台の造成など大規模な地形改変がおこなわれたものの「豊明市史資料篇補七」の記述にもありますように、二村山は、まだ多種多様な植物が生育する市内に残された数少ない自然の緑地となっています。
しかしながら、現在の二村山は、竹林や雑木林が長期間放置されていたため荒廃が進み、早急に手入れが必要な状態になっています。
豊明市の貴重な二村山の歴史遺産と多様性ある自然を保全・管理及び自然にふれ、学び、憩う場として活用し、また、後世に継承していかねばなりません。そのために、自発的に個人或いは団体として参加し、活動する組織「二村山環境保全推進協議会」を設立することにいたします。二村山環境保全推進協議会は、行政と協働で二村山緑地と持続的にかかわり、主体的役割を果たし、二村山の自然に学び、集い、楽しみ、発展しながら保全活動を推進いたします。
協議会は、市民と豊明市(以下「市」という)が協働して、二村山緑地の自然や歴史文化を保全、育成するため、次のことを主体的、自主的に取り組むことを目的とする。
(1) 二村山緑地の多様性ある自然及び歴史遺産を保全・管理する。
(2) 二村山緑地の自然を活かした利活用を推進する。
(3) 環境保全推進活動は長期的展望に基くものとする。
(4) 参加交流を通して親睦、情報の共有、調整をおこない共に学び発展する。
(5) 活動を通して人材を育成し、情報を広く発信する。
協議会は、目的を達成するため、次の活動をおこなう。
(1) 二村山緑地に存在する雑木林や竹林の再生。
(2) 二村山緑地を活用した自然学習及び市民の憩いの場づくり。
(3) 二村山緑地を後世に継承するための保全について協議し、市に提案する。
(4) 会員相互並びに他団体との情報交換、懇親を通して協調に努める。
(5) その他、協議会の目的を達成するために必要な活動をおこなう。
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