二村山豊かな里山づくりの会





二村山だより
52~61を掲載しています

62~は、こちら










クロミノニシゴリ

ネジキ



















ニオイタチツボスミレ











薄黄色に色づいたタカノツメの葉





















アベマキのドングリで作った作品 





 二村山だより61  二村山でテントウムシを調査しました     
                 二村山豊かな里山づくりの会 会長 浅野守彦

二村山豊かな里山づくりの会は9月23日(祝)二村山でテントウムシの調査を行いました。
この調査はなごや生物多様性保全活動協議会(愛称「なごビオ」、事務局;名古屋市なごや生物多様性センター)がその会員や市民に呼びかけて実施するもので、今までアリ、バッタなどテーマを変えて毎年一斉調査が行われてきました。従来は名古屋市内だけが対象でしたが、今年は設立10周年を迎え市外の団体にも参加からお声がかかり参加することとなりました。
 スタートの10時前には二村山駐車場に虫取り網を持った参加者が次々に集まってきました。子ども3人を含めた総勢12人で調査開始です。皆さん思い思いの場所でスウィーピングが始まりました。
スウィーピングとは草むらや木の枝葉をタモでランダムにすくう方法です。1匹目は私が茂みを叩いて白い布で受けて採りました。ヒメカメノコテントウです。大きさ3mmほど。ナナホシテントウ(約8㎜)の大きさが頭にある皆さんから「えーっ、こんなに小さいのがいるの?」という声が出ます。「多くの種は2㎜以下」にはさらに意外そうな反応です。

一同スウィーピングしながら散策路を移動していきますがなかなか採れません。明るいフジバカマ栽培地のまわりでは皆さんタモにいっそうの力が入ります。
「これ、テントウムシ?」との声が聞かれるようになりました。(何回かはハムシの誤認でしたが)懸命の奮闘の間に時間はあっという間に終了時刻の12時近くになっていました。

成果は6匹!ヒメカメノコテントウ3匹、外来種のモンクチビルテントウ2匹、名前がわからないヒメテントウの一種1匹でした。
6匹しか採れず、当然1匹も採れなかった人も多くいて、お誘いした私としては辛い立場でしたが、「楽しかった。またやってみたい。」との声を聞きちょっとホッとしました。

採集したテントウムシはその日の午後に生物多様性センターにお届けしました。専門家が種名を確認し、年度末には各地の調査結果をまとめた報告書ができるそうです。参加者の皆さん、お楽しみに。

 

 

 二村山だより60  あいち森と緑づくり 森林整備事業推進功労者     
                 二村山豊かな里山づくりの会 会長 浅野守彦
 知事さんから感謝状をいただきました

721日の昼過ぎ、私はスーツ姿で地下鉄丸の内駅からアイリス愛知に向かっていました。ありがたいことに、知事さんから感謝状をいただけるというのです。
712日の県ホームページには次のように掲載されていました。『愛知県では、2010年度から毎年、あいち森と緑づくり森林整備事業の推進に貢献された功労者の方々に、知事感謝状を贈呈しています。今年度は里山林整備事業の推進に貢献された豊明市の二村山豊かな里山づくりの会と、美浜町の阿奈志神社氏子へ愛知県知事から感謝状を贈呈します。』

また、当会の功績としては、『豊明市二村山緑地で里山林の保全及び維持管理を実施し、地域住民と自然観察会やどんぐり工作で体験学習活動など、自然を紹介する活動を推進』とされていました。

思えば当会の前身である二村山環境保全推進協議会が20051月に設立され、同年4月に豊明市と活動に関する基本協定を結んでから既に16年が経ちました。以来20213月末までに実施した作業は290回、参加者は延べ3,270人に及んでいます。一回半日の作業はたいしたものではありませんが、「継続は力」、多くの方々の参加で二村山の里山保全整備を地道に続けたことが評価されたのではないでしょうか。

また、豊明二村山自然観察会と二村山春の自然観察会の開催やグリーンフェスタへの参加に共同で取り組み、豊明エコキッズと「夏の夜の虫探し」などで二村山を情報発信できたことも受賞理由となったようです。会員の皆さん、協働していただいた団体の皆さんに感謝します。ありがとうございました。

豊明市役所の都市計画課(二村山緑地の担当課)には会設立当初からご支援をいただいており、特に毎年大量に出る伐採竹木や刈草の処理、市広報への作業日程掲載は当会にとって大変ありがたいことで、受賞後に表敬訪問した市役所では市長さんはじめ関係の方々に改めてお礼を申し上げたところです。

感謝状をいただいたとはいえ、いまだ道は半ば、改善すべきところはいくつもあり、少しずつでも見直しをしながら活動を進めていくつもりです。2006年にまとめた二村山保全整備の基本的考え方の冒頭には目標が大きく書かれています。

『二村山をいつまでも季節感にあふれ、多様な生物でにぎわう美しい自然の緑地に』

会員の皆さん、まだまだ頑張りましょう。あわせて、里山に関心のある皆さん、ぜひご参加ください。さて、表彰式はコロナ感染予防のため各団体代表1名のみの参加とされたため周囲は知らない人ばかり。しかも知事さんから直接の贈呈とあって緊張してしまい、一瞬マスクを取って写した記念写真はご覧のように表情がコチコチでした。

        
「贈呈式での記念写真」
            大村知事さん(左)といただいた賞状を持つ筆者(中央) (撮影:尾張農林水産事務所

          
       

 

二村山だより59  二村山の初夏  ~新緑を彩る花々~     
                 二村山豊かな里山づくりの会 会長 浅野守彦

恒例となった4月初めの「二村山春の自然観察会」、今年はコロナ禍と雨模様の天候のせいで参加者は約30名と例年の半分以下でした。しかしヤマザクラやソメイヨシノは花期が過ぎていたものの、コバノミツバツツジや里山のスミレは例年通り可憐な花を見せてくれました。特に前号で心配していたニオイタチツボスミレも鎌倉街道沿いで多くの花が見られホッと胸をなでおろしたものです。

コバノミツバツツジやニオイタチツボスミレの花が終わると、二村山は一気に初夏に向かって装いを変えていきます。初々しかった薄緑色のコナラの葉は日増しに緑が濃くなり、新緑の季節が到来します。この時期には白い花が入れ替わりたち替わり開花時期を迎えるようになり、4月中旬からゴールデンウィークにかけてはアズキナシ、サワフタギ、カマツカ、エゴノキなどが、そして5月半ばになれば、クロミノニシゴリ、ネジキがとってかわります。クロミノニシゴリは水際を好むハイノキ科の低木で、細かな花が短い棒状にかたまってつきます。

湿地環境の減少から名古屋市では準絶滅危惧種に指定されていますが、幸い豊明市内では二村山はじめ大狭間湿地や勅使池周辺などまだ何箇所かに生育地が残っています。一方山中で見られるのがネジキです。幹にねじれているような筋があることからこの名があり、ツツジ科に属しドウダンツツジに似たつぼ状の花が下向きに並んでつきます。

この文を書いている5月末には、クリの薄く黄色を帯びた細長い花序が目にとまるようになり、しばらくすると常緑樹のシャシャンボがネジキに似た花をつけ始めます。

これら初夏の花々はいずれも陽当りが良い場所を好む木ばかりです。そこには蜜を吸ったり花粉を食べたり、その結果受粉を助けるハチ、アブ、ハナムグリなど多くの昆虫が訪れ、「生きもので賑わう」里山、二村山を演出します。

ヤマザクラに始まりコバノミツバツツジやスミレが咲く場面を春の訪れを告げる第一幕とすれば、白い花々が次々に咲く新緑の里山は第二幕と言えるのではないでしょうか。

二村山豊かな里山づくりの会ではこんな二村山を後世に残せるよう、繁茂しつつある常緑樹を間引きし、明るい雑木林にしていく活動を行っています。里山や生物多様性に関心のある方々のご参加をお待ちしています。

 

 

 

二村山だより58   落ち葉の下のスミレは大丈夫? ~コロナで落ち葉かきえできず~     
                 二村山豊かな里山づくりの会 会長 浅野守彦 

2月のある日曜日、私は二村山に向かっていました。 1月にコロナの非常事態宣言が出され、里山保全活動は既に2回中止していましたが、宣言がさらに37日まで延長されて2月中の活動は困難となり、ある心配が頭をよぎったからです。(里山保全活動が「不要不急」かどうかは議論があるかもしれませんが、参加者の健康はやはり優先しなければなりません。)

毎年この時期は落ち葉かきを行っており、かいた後に里山のスミレたちが葉を伸ばして4月の初めには開花する。落ち葉かきはそんな役目を持つ大切な作業なのに、その作業がコロナのせいでできなくなってスミレは大丈夫だろうか?春には花を咲かせてくれるだろうか?そんな心配からとにかく現地を見てみなければ、と思いたったのが二村山行きのきっかけです。

駐車場で車を降りて向かった先は鎌倉街道です。何年か前に竹やぶを伐採してからその一角には里山のスミレの1種ニオイタチツボスミレが多く咲くようになりました。毎年4月初めに催す「二村山春の自然観察会」では、参加者がその姿の可愛らしさを見るだけでなく、花から出るほのかな香りを確かめるため地面に手をついて観察している場所です。

現地では心配した通りニオイタチツボスミレの自生地にはかなり落葉がありましたが、積もるほどではなかったため、ちょっと落ち葉をどけてみると直径1㎝ほどに成長した丸い根生葉の出ている株がたくさん見つかりました。まずは一安心です。直径5㎜ほどの小さな葉が2枚しかない株もありましたが、今年成長して開花は来年なのでしょうか。とりあえずできる範囲でそのあたりの落葉を払いのけました。「4月には可憐な花をつけておくれ」そんな思いを込めて。

かつて雑木林の落ち葉は燃料や肥料として利用されていたため、地面に多くの落ち葉が堆積することはなかったと思われます。落ち葉かきが何年もされず落ち葉が堆積すれば、スミレを始め草花は芽を出して成長することができなくなってしまいます。二村山の里山のスミレはニオイタチツボスミレを含めて4種類。いずれも市内の他の場所ではほとんど見られなくなったものばかりです。
「何とか残したい」共感していただいた皆さん、作業にご参加いただけるのをお待ちしています。

 

 


二村山だより57   二村山の紅葉 ~身近な雑木林の彩~                   
                 二村山豊かな里山づくりの会 会長 浅野守彦 

この拙文を書いているのは晩秋の11月末、時期的にはちょうど二村山の紅葉の最盛期にあたります。今年は11月なのに一時夏日が続いたせいか、例年より遅れているようです。

紅葉の代表はハゼノキ。かつてはロウを採取した植物で、その紅葉は「真紅」と言えるほどの美しさがあります。駐車場から散策路をちょっと進んだところにある大木を下から見あげる紅葉は、青空をバックにとても素晴らしい眺めですし、山のあちこちに生える幼木の紅葉にも目が留まります。

「黄葉」という言葉があるかどうかは知りませんが、鮮やかな黄色はアカメガシワがその筆頭でしょう。アオハダとタカノツメ(唐辛子ではありません)は薄黄色の美しさで二村山を彩ります。ヌルデやアズキナシにも捨てがたいものがあります。

そして晩秋の主役筆頭がコナラです。春の薄緑の新緑に始まり、夏にはカブトムシを呼ぶ樹液を出し、秋にはドングリを落とす二村山雑木林の代表種です。紅葉は赤でも黄色でもなく茶色ですが、順光で見る晩秋のコナラ林の美しさは毎年見ていても「これぞ身近な雑木林の彩!」と感動するものがあります。山頂展望台、鎌倉街道沿など二村山の随所で見られます。ぜひ一度ご鑑賞ください。

視線を下の方に移しましょう。二村山をめぐる小径の上にも晩秋を感じることができます。私が一番好きなのはサクラの落ち葉です。色づいたサクラの葉は1枚の中でも赤をベースに黄色があったり、穴があいたところが黒ずんで

いたり、まさに「配色の妙」を感じますし、その落ち葉のじゅうたんには何とも言えない美しさ(語彙の貧困!)があり、ついついしゃがみ込んで見とれてしまいます。

他にもイソノキ、クリ、ゴンズイ、イロハモミジなどの樹々が色づき、また「草もみじ」や木の実も見られます。あなたも来年は晩秋の二村山を訪れてみてはいかがですか。適期は11月下旬から12月初旬ですが、年によって時期がずれたり、順次紅葉しては散っていきますので、何度か足を運ぶことが紅葉を楽しむコツではないでしょうか。

これら二村山の晩秋を彩る落葉樹は地面まで光が届かないと二世が育つことができません。ヒサカキ、アラカシなどによる常緑樹林化は着実に進んでおり、季節の移り変わりを私たちに見せてくれる二村山を後世まで残せるよう作業を続けていきたいと思います。

二村山だより53   工作用のドングリがない! 
~グリーンフェスタ開催が早まりドングリの落果前に~

二村山環境保全推進協議会は毎年豊明二村山自然観察会と共同で市主催のグリーンフェスタに出展しており、その一番人気はドングリ工作です。白の修正ペンと黒マジックでドングリに目玉などを書き、台座に松ぼっくりや小枝などとともにグルーガンでくっつけて「作品」を作ってもらう企画で、有料のブースが多いなか無料で遊べる場所として毎年好評です。

このグリーンフェスタは例年10月下旬に開催されてきました。ドングリは毎年10月第4日曜日の定例二村山自然観察会で参加者が集めるのが恒例となっていましたので、今年の開催は105日と聞いてびっくり「大丈夫か?まだコナラはドングリが落ちてないぞ」と心配の声。「確か去年一杯拾ったし使わなかったのが沢山残ってるよ」と楽観の声。大勢は後者になびいて一同ひとまずは安堵します。
心配性の私は夏になって在庫を確認したくなり、保管している会員に見せてもらったところ、松ぼっくりや台座は在庫がたっぷりあるのに肝心のドングリは在庫がありません。「さあどうしよう?」市役所に聞くと私たちがドングリ工作を出展するとの印刷は発注間近とのこと。「ええいままよ」と思い市には「何とかします。修正は無用です」と返答し、対策が始まります。

この際二村山産にはこだわってはおれません。ネットを見ると夏休みの工作用に売りに出ていましたが、今までは拾ったドングリだったのに買ってまで?それに結構高価!次に思いついたのがドングリ工作をやっている知人のこと。連絡をとると「アベマキはだめだけどマテバシイならいいよ」と沢山いただけることになりました。さらに今まではコナラばかりを拾っていて気付きませんでしたが、913日唐竹公園に会場の下見に行ったらアベマキのドングリが落ちているではありませんか!アベマキのドングリ落果は9月中旬だったのです。ほどなくマテバシイ落果の報もあって「やれやれ助かった」と一件落着。もらったマテバシイと拾ったアベマキでグリーンフェスタを乗り切ることができました。

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27日には自然観察会参加者で来年用にコナラのドングリを拾いました。やはりかさになっても在庫は必要ですね。それに今まで知らなかったアベマキやマテバシイの落果時期もわかりました。「何年自然観察会やってるの?」と言われそうですね。

二村山だより52    ユミアシゴミムシダマシ ~十「虫」十色~
 
体長2.5㎝ ユミアシゴミムシダマシ

719日(土)今年も豊明エコキッズ主催の「夏の夜の虫探し&観察会」が二村山で開催されました。参加の子どもたちが目を輝かすのは何と言ってもカブトムシとクワガタムシですが、今回はこれら同様夏の夜の二村山に出没するユミアシゴミムシダマシをご紹介しましょう。

昆虫は世界に約100万種いると言われ、豊明市内でも市史自然編によると1,100種類も記録されていて(これでも「ごく一部が確認されたに過ぎない」との注記あり)その種類の多さには驚かされます。

子どもたちに大人気のカブトムシ・クワガタムシに始まって、美しい蝶や玉虫、可愛らしいテントウムシ、秋空を飛ぶ赤とんぼ等々人々に好感をもたらす虫はいくつも思い当たるでしょう。逆に、血を吸われ刺されたあとはかゆくなって見ればつぶしたくなる蚊、女性からは「キャッ」と声が出そうな芋虫・毛虫、恐怖のスズメバチなどマイナス評価の虫も数多くいます。

そんな中でこのユミアシゴミムシダマシは何と表現したらいいのでしょうか。体長は2.5㎝ほどで全身光沢のない黒色。ユミアシというのは前足の中間の節(脛節と言います)が弓のようにやや湾曲していることを指しています。昼間は朽ちた木のすき間や下に隠れていて、夜になると立ち枯れた木の幹などにじっととまっているのを見かけます。

食べ物は枯木やそこに着く菌類。動きはごくスローモーでのっそり、懐中電灯で照らしても「何か用?」ととぼけた声をかけられそうですし、「人生のんびりやらなきゃ」「長生きできないよ」と変な悟りの言葉も聞こえてきそうな気もして、カブトムシの人気や蝶の美しさもどこ吹く風、とにかくこのユミアシ君はそんな虫です。小型のクワガタほどの大きさがあるのに子どもたちからは見向きもされず、したがって捕まることもなく、彼にとってはいい意味で見過ごされています。

写真は825日(日)の豊明二村山自然観察会主催の月例観察会で、朽ち木の下に隠れていていたのを手にとまらせて撮影したものです。さすがに長いとは言えない足でトコトコと彼なりの「全速力」で走って逃げようとしました。ごめんね。撮影後すぐに解放しました。