二村山豊かな里山づくりの会





二村山だより
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 二村山だより65 二村山でカタツムリを探しました~なごビオの陸貝調査に参加~                        二村山豊かな里山づくりの会 会長 浅野守彦


なごや生物多様性保全活動協議会(愛称「なごビオ」、事務局:名古屋市なごや生物多様性センター)が呼びかけて実施する調査への参加は今年が2回目になります。
昨年の調査対象はテントウムシでしたが、今年はカタツムリなどの陸貝です。普段はカタツムリくらいしか見ないのですが、送られてきた資料によれば、小さなものは2㎜弱しかなく、これらの微小な種も含めて名古屋市では55種類もの陸貝が記録されているそうです。

八事の興正寺公園で開かれた調査講習会には副会長が参加し、陸貝の見つけ方を専門家から講習を受けてきました。その秘訣とは、ふるいや網目の大きい洗濯ネットに落ち葉の下の腐葉土を入れてふるい、落ちてきたものを虫眼鏡で見て、キラッと光る微小な貝を見つけるという何ともマニアックな方法でした。

109日(日)の調査当日、参加者は小学生2名を含む12名。フジバカマ栽培地近くのビートルベッドで調査スタートです。皆さん思い思いにふるいや洗濯ネットに腐葉土を入れて、バットやトレイの上でふるい始めます。ふるい終わると持参の虫眼鏡で懸命に小さな貝を探します。
はじめは要領がつかめなかったのですが、しばらくすると「あ、いた!」「これ、そうかな?」の声があちこちから聞こえるようになりました。ビートルベッドだけでなく、近くの斜面の落ち葉をふるって探す人もいます。勘がいい人は木の股に積もった落ち葉をひっくり返して、細長いキセルガイを見つけました。

場所を変えようと鎌倉街道へ移動します。さすが小学生は目がよく、途中で日陰の木の幹や、見上げた木の葉の裏にいるカタツムリを何匹も見つけました。鎌倉街道沿いでふるいをしているうちに10時スタートの調査はあっという間に終了時刻の12時です。

本来は見つけた陸貝の種名を調べ、数とともに調査用紙に記入しなければならないのですが、とにかく探すのが精一杯でそこまではとても手が回りませんでした。採集した陸貝は調査終了後すぐ副会長に生物多様性センターまで届けてもらいました。これらは専門家に調べていただけるようですので、年度末に出来上がる報告書が楽しみです。はたして何種類が確認されるでしょうか。

      
 

 

 二村山だより64  タマムシ~二村山で出会える”森の宝石”~    
                 二村山豊かな里山づくりの会 会長 浅野守彦

二村山では毎月第4日曜日午前8時から月例の自然観察会が催されています。その7月の観察会では、二村山を一周して駐車場に戻ってきたら片隅にあるエノキの梢を眺めるのが習慣になっています。タマムシがあたりを飛びまわる時期だからです。

タマムシは34㎝程の大きさで、緑色の体に赤っぽい縦の線が2本あるのが特徴ですが、何と言っても光沢ある輝きはとても素晴らしく「森の宝石」と言われる由縁です。タマムシと聞いて玉虫の厨子を思い浮かべる方も多いでしょう。
奈良法隆寺にある玉虫厨子は今から1300年ほど前の飛鳥時代に、仏像などを入れる厨子の表面にタマムシの羽を装飾にあしらったもので、大昔から人々がタマムシの美しさに魅入られていたことがわかります。幼虫はエノキ、ケヤキ、サクラ、カシ類などの枯れ木中に住み、2年で成虫になることが知られており、二村山では6月から8月にかけて見ることができます。

成虫はエノキの葉を食べるのでその近くを探せば飛ぶ姿に出会うことができます。長い前羽を横に広げて飛ぶ姿は特徴があり、すぐにタマムシとわかります。ただ残念なことに、飛んだり葉にとまったりするのが高い所なので、その美しい姿を間近に見ることはなかなかできません。観察会参加者の皆さんは双眼鏡を覗いて納得することになるのですが、やはり間近に肉眼で見るのが一番なので、時には長さ9mの竿に捕虫網を付けて捕まえ、皆さんで「鑑賞」することもあります。

「きれ!」の声が思わず出るひと時です。エノキは市内あちこちにあり、またタマムシは豊明市の木であるケヤキも好きなので、あなたの散歩コースでも遭遇できるチャンスはあります。たまには水辺や、写真のように産卵のために枯木に降りてきて間近で見つめ合う幸運に恵まれることもあります。

ある本を読んでいたら、タマムシは縁起の良いことの前触れに現れる「吉兆虫」とも呼ばれているそうです。夏に二村山を散策する時には駐車場のエノキ(樹名板あり)の梢を見上げてみてください。吉兆の使者に出会えるかもしれませんよ。

   

コナラの倒木に来たタマムシ


        

 

二村山だより63  境川でオオキンケイギク駆除    
                 二村山豊かな里山づくりの会 会長 浅野守彦


二村山だよりに境川が出てきて「あれ」と思う方がおいでのことと思います。当会が活動の対象としている二村山は里山の雑木林であり、一方の境川は里山の草地で、ともに人の活動により維持されてきた生態系です。
二村山がいつまでもコバノミツバツツジやニオイタチツボスミレが咲いてくれるよう願うのと同じように、境川堤防の草地に咲くカワラナデシコやツリガネニンジンなどの減少もくい止めたいと思います。現在この草地は河川を管理している県が年1回草を刈ることで維持されていますが、大きな脅威は外来種オオキンケイギクの増殖です。オオキンケイギクは繁殖力が強く、野外にあるのを放置すると日本に昔からある植物(在来種)を駆逐してしまうため、法律で「特定外来生物」に指定され、栽培や運搬、販売、野外に放つことなどが原則禁止されています。

当会では市内に残る里山の草地植生を守るため、オオキンケイギクの駆除活動を行いました。オオキンケイギクは多年草のため、鎌や草刈機で刈り取るだけでは根が残ってしまい駆除できません。移植ごて、根掘りなどを使って根から除去する必要があります。既に大きな株となっているものには太い根が地中にあり掘り取るのはなかなか大変です。

花が咲いている株を抜き取っているとその周りには小さな株が多数あり、根絶させようとそのひとつひとつを採っているとなかなか進みません。最後はとにかく種子をばらまかれないよう花が咲いている株だけは除去しよう、というところにおさまります。県の自然環境課の方から「まずは狭い範囲を根絶させることを目標にした方がいいですよ。」とのアドバイスをいただきましたが、咲いているオオキンケイギクを見るとなかなか割り切れず悩ましいところです。

今年は5月9日(月)と29日(日)の2回駆除を行い、駆除したオオキンケイギクはあわせて45リットルのゴミ袋104袋になりました。これは当会会員だけでなく、多くの方々にご参加いただき作業を行った成果です。しかしながら根絶にはまだまだ至らず、来年も続けたいと思っています。多くの方々のご参加をお待ちしています。

             

 

 

二村山だより62   長持ちする樹名板への更新を始めました 
                 二村山豊かな里山づくりの会 会長 浅野守彦 


二村山を散策したことがある方はあちこちに老朽化した木の名札(樹名板)があるのにお気づきになったと思います。二村山の樹名板は20072008年に57本作成・設置したもので、はちどりの20081月号には二村山だより⑤として設置第1号の写真を掲載していただきました。

当会の二村山の保全と整備の方針では「③魅力ある二村山の自然やその価値をPRし、市民が自然に親しみながら散策を楽しめる場、環境学習の場とする」としており、その一環として行ったものです。作成は、当時の会員で説明文を相談したり写真を持ち寄ったりして掲載内容を決めたオリジナル版で、プリンターで印刷した写真付き説明をラミネート加工して支柱付きA4看板に貼り付けたものです。資材は市役所都市計画課に応援を求めたところ快くご提供いただきました。

それから15年が経過し、徐々に劣化が進むのは物の常。まずはラミネート加工した説明が写真とともに太陽光によって退色し、順次貼り替えが必要になりました。次に支柱は防腐剤加工がしてあるものの寄る年波には勝てず、地中部分が朽ちて倒れるようになりました。

角材を買ってきて取り替えたり、里山整備で伐採した木を利用したりしましたが所詮付け焼き刃の感は否めません。結果補修に手が回らず、退色した樹名板が倒れっぱなし、という情けない状況になってしまいました。昨年、杭だけでもプラスチック製にして取り換え不要にしようと考えましたが、説明・写真の退色は未対策のまま残ってしまいます。看板屋さんに聞いてみようと思い立ち、市への納入実績が多いイトー工芸さんに材質など相談したところ、お値段も手の届くものでしたので作成をお願いすることにしました。

耐久性を考えたアルミ製です。2021年度は10本作成し12月末に設置しました。
2022年度は30本を設置できるよう県の森と緑づくり交付金を要望します。毎年4月初めに開催している「二村山春の自然観察会」は、当初設置した樹名板のお披露目を兼ねて20084月に第1回を開催した経緯があります。更新した樹名板をご紹介できる2023年の観察会を思い浮かべながら今回の拙文を終わります。

  
更新した樹名板

 

 

 


 
体長2.5㎝ ユミアシゴミムシダマシ