おらが農園だより エンドウの三季まき 夏も秋も次々と収穫 機関紙はちどりVol.60 |
エンドウ(えんどう豆)の特徴
エンドウは大きく分けて、若い莢(さや)を食用とする「サヤエンドウ」と、未熟な豆を利用するグリーンピースのような「実エンドウ」、そして完熟した豆を乾燥させて利用する「エンドウ豆」とがあります。エンドウは歴史が古く、紀元前7000年頃から南西アジアで栽培されていました。エジプトの有名なツタンカーメ ンの墓から出土するなど古代ローマやギリシャで栽培されるほど、歴史的にも大変古く重要な作物だったようです。後にインドから中国へ伝わり、日本へ入ったのは8~10世紀頃と言われていますが、日本でエンドウが食べられるようになったのは江戸時代以降です。
エンドウの三季まき(裏ワザ)
エンドウの種まきは秋が一般的です。秋は春先より地温が高いので直まきで容易に発芽し、幼苗は氷点下の寒さにも耐えられるからです。また夏の高温で落花しやすくさやがつきにくいことも関係しています。一方エンドウの生育温度は0~28度と幅広く栽培のポイントを押さえれば種まきは秋春夏の三季できます。
[秋まき春どり]
種まき 10月中旬~11月中旬収穫 4月下旬~6月中旬
1か所に3粒を直まきし、2cm程覆土する。株間は30㎝、本葉4~5枚になったら2本に間引く。畝の両端に支柱を立て横に支柱を渡し、固定して株の上に束ねたワラをつるし、寒風霜を防ぐ。春先につるが伸び始めたらワラ束を取り、ネットに張り替える。
[春まき夏どり]
種まき(ポットまき) 2月下旬~3月上旬 収穫 5月中旬
種まき(直まき) 3月中旬~5月中旬 収穫7月下旬
ビニールポット1個に1粒、透明な衣装ケースなどで育てる。ケース内が高温になり過ぎないよう日中はフタを開け換気、夜は屋内へ。
[夏まき秋どり]種まき 8月上旬~9月上旬 収穫 11月上旬~下旬
高温期は過密で多湿になると種が腐りやすいので1粒まき、株間30㎝の直まき、2cm程の覆土。芽が出るまで土壌水分が多いと種が腐ってしまうので、種まき直後から芽が出るまで水やり厳禁。芽が出、葉が展開すると水分が必要となるので、土が乾いている時は適宜水やりする。(近藤)参考:家の光 家庭菜園の裏ワザ
マメ科の中でもエンドウは連作すると病気が出やすいので、畝をローテーションするなどして育てる場所を変えましょう。また、酸性に傾いた土壌を嫌うので、あらかじめ苦土石灰を畑にまいて中和しておきます。
病虫害
うどんこ病
葉に白い斑点ができ、白っぽいカビ(糸状菌)が生え、やがて枯れます。うどんこ病の発生時期は4月~10月頃。乾燥しすぎても、過湿の状態でもかかりやすいのでこまめにチェックしながら育てましょう。病気の葉は、初期段階で摘み取り、破棄してください。
アブラムシ類
アブラムシは気付いたときには大量繁殖してしまっていることもあるので、初期段階で見つけて、早期に退治しておくことが肝心。特定防除資材の「酢」が原料の製品の散布がおすすめです。
ハモグリバエ
エンドウはハモグリバエの大好物。幼虫の被害が出やすく葉の中にもぐり、這うように移動しながら食害範囲を広げ、不思議な模様を描きます。
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おらが農園だより 種を採ってみよう! 機関紙はちどりVol.60 |
家庭菜園など野菜を育てるとき、お店で苗や種を買ってきますよね。次も新しく苗や種を買うと思います。でも毎年種を買うのって意外とお金がかかりませんか。趣味だからお金がかかってもよいとか、種まで採るのは面倒だとか、来年まで保管しておくのは大変、とか色々思うことでしょう。種を採るのが簡単なものもありますし、少し試してみるのも面白いのではないでしょうか。
現在売られている種は大きく分けて2種類あります。
固定種:品種改良などで長い時間をかけて世代交代した結果、味や形といった形質が遺伝的に安定したもので 親から子へと、同じ形質が代々受け継がれます。
F1種: 異なる特徴をもつ親をかけあわせた第一世代の種です。異なる特徴を持つ遺伝子をかけ合わせると、一世代目は優勢な遺伝子の特徴だけが現れます。病気に強いなど様々な特徴をもった種ができます。
F1種の特徴は一世代のみ、なので種を採るなら固定種がよいでしょう。種の袋に○○交配と書かれていたらF1種、○○育成と書かれていたら固定種です。どちらも書いてない場合も固定種です。
左育成(固定種)右交配(F1種)
固定種 |
F1種 |
・F1と比べて発芽・生育が不揃い(悪い)
・味にそれぞれ特徴、クセのあるものが多い
・自家採種できる
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・発芽・生育が良く形、大きさも揃いやすい。育てやすい
・味にクセのないものが多い
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・自家採種ができない |
採種が簡単なもの(1.から順に)
1.タネや種イモを食べる野菜(ダイズ・サトイモなど)
2 .完熟した作物を食べる野菜(トマト・スイカなど)
3.完熟させる前に収穫する野菜(キュウリ・オクラなど)
4.葉菜類(ホウレンソウ、コマツナなど)
5.根菜類(ダイコン、ニンジンなど) となります。
葉菜類や根菜類、特に他家受精する野菜は交雑しやすい特徴があるので、種用に隔離する必要があるなど難しい部類になります。
基本、タネはしっかりと乾燥させましょう。湿気があるとカビが発生します。保存容器の空きビンや封筒には乾燥材を入れるようお勧めします。品種名、採種年を書いておきましょう。発芽能力を維持させることが大切なので、低温・低湿の状態で保存します。冷蔵庫の野菜室などがよいでしょう。
採種が簡単なサトイモの紹介です。
上部、数㎝を残して葉を刈り取り、掘り起こします。イモが痛むので子芋、孫芋は外さずに塊で保存します。畑に数十㎝ほどの深さの穴を掘り、逆さまにして置きます。地下に水がたまりやすい場合は浅くするなど工夫しましょう。空気の通り道があるとよいので、もみがらやわらがあるとよいです。穴の四方にわらをタテにして差し込むのもよいです(地面から飛び出す感じに)。後は上から土を被せますが、あまり寒くない場合は少なくても大丈夫でしょう。雨水が入らないようにシートをかけるのも手です。あくまで一例なのでやりやすい方法を探してみましょう。
採種の際の注意
令和4年4月1日から種苗法が改正され、自家採種の制限がかかります。家庭菜園など個人で楽しむ分にはとくに問題はありませんが、品種登録されているものは、「許諾」を得ずに採種をして栽培し収穫したものを販売してはいけなくなります。これにはおすそ分けなども引っかかる可能性があるので避けるほうが無難です。品種登録されているものは表示が義務化されるので包装などを見て判断しましょう。 (吉田)
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おらが農園だより トリプル保温の裏ワザ~イチゴの早栽り栽培~ 機関紙はちどりVol.59 |
私たちが食べているイチゴ(果実)は「花床(花托)」と呼ばれる花のつけ根の部分が、肥大・発達したものです。イチゴには、食物繊維、糖質、ビタミンC、葉酸などの栄養素が豊富に含まれています。今回はイチゴ栽培の裏ワザです。植付け適期は9月下旬~10月です。
トリプル保温の裏ワザとは、3種類の保温資材を使って真冬にイチゴを収穫する方法です。
決め手はイチゴを休眠させないこと。通常のイチゴの露地栽培では植え付けから収穫まで約7カ月かかります。晩夏に発芽、分化した株は自発休眠といって植え付け後の秋の低温と短日に反応して休眠に入ります。外が寒い間、生育休止の状態は続きますが、春先、気温が上昇してくると生長を再開し、5月にようやく収穫できますが、裏ワザの保温のやり方では1月下旬から少しずつイチゴが色づき長く楽しめます。
■畑の準備 南向きの日当たりのよい場所に植え付け、1カ月ほど前に堆肥2㎏/㎡、ボカシ肥200g/㎡をまいて耕し、1週間前に幅70㎝、高さ20~30㎝の畝を作り、黒マルチを張り裾を土に埋めます。
■植え付け(10月下旬)
●トリプル保温
①マルチ
株間30㎝の千鳥植えにします。早く活着させるため根鉢を崩し土をきれいに落し、水を張ったバケツにつけ、 たっぷり吸収させ乾かないうちにマルチに穴をあけ、葉をマルチから出し、裾を土で埋めます。
②不織布 株の上に余裕を持たせて不織布をふんわりとかぶせ、裾を金具で固定します。
③トンネル栽培穴なしビニールシートをトンネル状に掛け、両端を金具で固定します。春先、気温が上がってきたら裾を上げ換気をします。
■日常管理のポイント
●水やり開花・結実には水分が必要なうえ、根は乾燥に弱いので、土が乾いたら葉にかけないよう、マルチの穴にたっぷり水やりします。
●追肥収穫が始まったら1株あたりひとつかみのボカシ肥を株元に施します。第2花房が伸びてきたら同量を追肥します。
●人工授粉トンネル内には訪花昆虫がいないので、開花したら柔かい筆などで花の中心をなでて、丁寧に受粉させます。
●収穫(1月下旬~5月)開花から約4週間後、第1花房が終わると新しい花房が伸び、5月頃まで少しずつ収穫できます。(近藤)
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株間30㎝の千鳥植え |
ランナーを通路の反対側へ向ける |
トンネル栽培 |
葉の付け根が地上に出るように |
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おらが農園だより ~黒マルチを使ってジャガイモづくり~ 機関紙はちどりVol.57
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ジャガイモはナス科なのでトマト、ナスなどとの連作を避ける。とくにトマトは共通病害が多いので近く接しての栽植は禁物。黒マルチ(マルチとはポリフィルムなどの資材を使い、畝を覆うこと)を使ってジャガイモを作ってみよう。マルチには保温、保湿、雑草の防止、病気の予防などの効果があり、土寄せ、追肥なしで栽培でき、楽に収穫できる。
ジャガイモの育て方 ―2年体験した方法を紹介―
① 種イモは前もって芽出しをし、植える時片面40~50gのものに2~3芽付けて切り、切り口には草木灰をまぶす。私は菓子などの袋に入っている石灰乾燥剤を代用した。
② 巾50㎝、高さ20㎝くらいの畝を作る。
③ 畝に約5㎝ほどの溝を掘る。
④ 株間30㎝くらいに種イモを並べる。⑤肥料がイモに触れると腐るので、株間に堆肥一握り、化成肥料を約20gほど置き、イモを埋める。
⑤ 肥料がイモの切り口は通常下向きに埋めるが、切り口を上向きにすると丈夫な芽だけが出てくる。また、適度なストレスが掛かるので収穫量が増える。
⑥ 黒マルチを掛ける。
⑦ 芽先がマルチを押し上げたら手で穴をあけ芽を上に出す。
おらが農園だより ~土寄せと中耕~いよいよ秋冬野菜の出番です! 機関紙はちどりVol.56 |
9月は秋から冬に収穫する野菜の植え付けの適期です。台風や長雨などで予定通り作業が進まないこともありますが、好天を見計らって時機を逃さず作業しましょう。
【土寄せの目的と効果】
野菜の生長に併せて株元に土を寄せ集めることを「土寄せ」と言います。間引きや定植をした後の作物は、風に振り回されると葉が痛んでしまいます。生育初期が大切です。土寄せをする前に肥料をばらまいておくと追肥を兼ね株がしっかり固定されます。土寄せには、株が倒れるのを防止したり、新根の発根を促進したりする効果があります。それにより養水分の吸収が高まって、生育が活発になります。
① 作物の倒伏を防ぐ:しっかり固定して風で倒れないようにする。間引き前後のダイコンなどは、台風前に必ず土寄せをしておきます。
② 排水性を高める:畝間に溝を切って畝が高くなると、高畝にしたのと同じような効果があります。
③ ニンジンの青首防止:抽根部に光が当って青首になるのを土寄せで防ぎます。
④ 根深ネギの葉鞘部(図2)を軟白化:土寄せによって軟白化します。
【中耕の目的と効果】
中耕(ちゅうこう)とは、農作物の栽培中に畝間や株間の土の表面を浅く耕すこと。土壌の通気性などをよくし、作物の生育を促進させるためにおこないます。
中耕は追肥と土寄せを兼ねた管理作業で、1カ月に1~2回おこないます。
作物は根、葉から酸素を吸収し呼吸をしています。その為、土の表面が雨に打たれて締まってくると、根に酸素が届かなくなります。効果は以下の通りです。
① 硬くなった土の通気性と水はけをよくする。酸素の供給を促進する。
② 発根促進、肥料の吸収を促進する。
③ 畝間、株間の雑草の発生を抑制する。
ネギの部位の名称 間引きも忘れないでね\(^o^)/
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